赤星 周展<タブラ・ラサ>

    2017年9月14日(木)~10月4日(水)   
OPEN/11:00~18:00 CLOSED/日・月 ※9月23日(土・祝)は特別開廊いたします。
    

                     
                                                                      「生肉をたべる人」

じぶんの動きが形を残す。
いつしか消えるが、痕跡はしばらくそこに留まる。
それを見、見られる。
その営みの足場として呼吸する板に不思議さを感じ
〈タブラ・ラサ〉(「空白の書板」の意)としました。  赤星 周




「紐 ( ひも ) の自在」

 15世紀、絵画を支えていたのは遠近法でした。さらにこの遠近法を支えていたのは、無限で等質な連続する空間という考えです。17世紀に物理学で定式化されたこの等質な空間という考えは、ご存じのとおり20世紀初めに観測者の速度によて伸び縮みするそれへと更新されます。が、それに先立つ19世紀末、遠近法はすでにその居場所を絵画からカメラのなか移していました。絵画は外に見えるものを写すことをやめ、見ることそのものを見ようとし始めます。その過程で、世界見る意識的視点と、そのバックグラウンドにあって休むことなく作動し絶えずこの意識的視点を脅かす触覚的・無意識的体との二重性が問題となってきました。ほんらい外を写す道具である点・線・面を用いて一枚のキャンバス平面上に意識身体の二重性を表す試みは、苦闘の連続であったと言えるかもしれません。

 赤星さんの作品もまた、この流れの上にあると思います。けれども、過去の試みと異なり、それはずっと解放的で、見るものに大きな喜びを与えてくれます。なぜでしょうか。

 ひとつに、赤星さんの作品は、ギャラリーのあちこちを動きながら、「完成未完成問わずのパーツ群」を「現場で加筆したり組み合わせたり切ったり貼ったりねじったり」して、ここにしかない浮遊する構造を実現することでつくられています。したがってそこには、閉じたキャンバスではありえない、もっと大きなアクシデント、言い換えれば予想もつかない意識と身体とのずれが随所に籠められていて、それがわたしたちにも伝わるのです。

 もうひとつは、赤星さんの制作を支えている「ひも」という考えです。ひもはたとえば臍の緒のように、生命や力の遣り取りを可能にします。ギャラリーに広がる各パーツ、そのうえに描かれ貼られた個々の要素、またそれらのパーツ群のあいだを、可視そして不可視のひもが自在にかたちを変えながらしなやかにつないでいる。点にはできないことです。そこでの生命や力の遣り取りもまた、わたしたちに伝わります。その結果わたしたちは、ギャラリーという身体に配された臓器のなかを経巡るような、また無数の糸が吐き出された繭のなかをさまようような、不思議な体験を得ることができるのでしょう。

 「タブラ・ラサ」。それは、ただの白板ではない、消された過去の履歴すべてを次の創造のために覆い隠して待機する板をしています。創造と破壊のトリックスター赤星さんにふさわしいタイトルなのです。                                      

秋庭 史典( 名古屋大学・大学院情報学研究科・準教授 )




制作風景                                               

                                                   


「プラナリア」(部分)                                 「頁の標本」(部分)
                   
「タブラ」(部分)    
                    
「パロール」
                  

「シュムルート」

 

思考の跡を作品に残し、見つめ、見せる。

表現はキャンバスだけに留まらず、時にはトレーシングペーパー、ダンボールなどに描き、それらの作品パーツを切り、貼り、組み合わせ、

彼女の手からは次々と奇想天外な作品が生み出されます。

今回は約2週間ギャラリーに滞在し、現場制作を行いました。

もし絵が生きていたら?支持体から抜け出て侵食していくのでは?

キャンバスや紙を飛び越え、壁にもペインティングを施しています。    

個々の作品がバラバラに存在しているようで、実は同じ発想源や同じ絵具から生み出されていたり、つながりがあったり。   

約20点を展示しています。


(あかほしあまね)
1991 東京都出身 
2017 愛知県立芸術大学大学院 美術研究科 油画・版画領域 博士前期課程修了
2017 愛知県立芸術大学 美術研究科 油画・版画領域 研修生 在学中
主なグループ展
2011 「うい展」京都市立芸術大学
2012 「460人展」市民ギャラリー矢田(名古屋)
2014 「ぱるけ」愛知県立芸術大学
   「新しい眼」国立新美術館、愛知県立美術館
受賞歴
2011 「Dアートビエンナーレ」入選
   「うい展」京都市立芸術大学 学長賞
2014 「ぱるけ」教授賞



赤星 周展<タブラ・ラサ>
2017年9月14日(木)~10月4日(水)11:00~18:00

※9月23日(土)秋分の日は、特別開廊いたします

【作家在廊日】9/14終日、毎週金曜夕方~、毎週土曜日終日、10/4終日   
会場:NODA CONTEMPORARY
※日、月休み
※入場無料